19th Album『EPIC DAY』収録

『EPIC DAY』のバラード3曲はどれも非常にクオリティの高いものが揃っていると思います。その中でこの曲は、近年のB'zには珍しい物語調の歌詞、そしてその世界に寄り添ったメロディに特徴があります。なぜか理由は説明できませんが、この曲は特に稲葉さんの言葉が入って来やすい感覚がします。分かりますかね?

かなり具体的なストーリー性があるのでこの記事も解釈というよりはあらすじに近くなるかもしれません。

物語の始まりは転校生との出会いで、主人公は蒼い心ざわつきを感じます。恋や愛と断定できず、ざわつきと表現されているのが若々しいですね。

好きだけれどどのくらい 好きなのかわからない、という感情に共感できる人は多いのではないでしょうか。100%や120%の愛情はよく語られがちですが、100%に満たない愛情はなかなかフォーカスされることはないので、斬新な視点だと思います。好きではあるけど眺めるだけで幸せなのか、それとも付き合いたいのか、どの行動に移すべきかが自分では判断できない、という状態にあります。グズってるうちに離れてしまうところまで含めてあるあるかもしれませんね。

その後しばらくして再会します。描写から推測するに主人公が故郷を離れていたのでしょう。を離れたに残った、変わると変わらない。対照的ですね。

そしてこのタイミングで主人公は告白します。大人になるとは自分の思いをしっかりと理解し、行動に移せるということなのかもしれません。しかし結果は…。ここでニクいのは、主人公にも我々にも困った顔の理由は分からないところです。事情は及び知らず結果だけが突きつけられる、振られた側は案外そんなものなのでしょうか。

しかし主人公は、その寂しさ悲しさ忘れないと言い切ります。恋自体はこれで終わったのですが、その思い出は今でも彼の中に残り続けて、人格を作り出す助けとなっています。あの経験をしてるからこそこの体験でこんなものが得られた、というのは恋愛に限らずありますよね。失恋が今後の人生に新たな価値を付加する、という意味がこの体をやさしく包んでるには含まれているでしょう。

一番力のある歌詞はひょっとして大事なもの 少しずつ無くしながらという部分でしょうか。大事なものが何かは直接語られていないため、そのまま聞くと少し驚くところですね。ここでポイントなのは、(モデルが稲葉さんかどうかに関わらず)主人公はそれなりに「青春」と距離があるということです。年を重ねて様々なものを得た一方、当時の青さ、若さは二度と返ってこないというのも事実です。ときめきや興奮といった感情は未熟だからこその大事なものなのかもしれません。ちなみに稲葉さん自身はこの若さや新鮮さが失われる問題と戦い、それを乗り越えようとしています(『STAY GREEN〜未熟な旅はとまらない〜』、『MAGIC』等参照)。

まとめると、初恋の始まりと終わりを描きながら、その思い出が今でも影響し続けているという切なさについて歌った曲であると言えます。

個人的にはせつない蝉の合唱というのもいろいろ考えさせられます。儚さの象徴であるとか、せつなく聞こえるのは主観がかなり影響しているとか。

次回は『明日また陽が昇るなら』です。LIVE-GYMでもたびたび語られるテーマを改めて言語化した感じでしょうか。
閲覧ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。